1-2 現在のNBAの王、キングレブロン。

■ 自他共に認める現在のNBAのキング、レブロン

現在のNBAでまず押さえておきたいのが、キングことレブロン・ジェームズです。

もうすぐ始まる今シーズン(2017-2018)で15シーズン目を迎えるベテランですが、高校卒業後すぐにNBA入りしたので現在32歳、今まさに脂が乗って円熟期を迎えているプレイヤーです。既にNBAを3度チャンピオンに導いていて、ここ直近6年連続のNBAファイナル(シーズン後に行われるプレイオフの決勝)は全てレブロンのいるチームが進出していて、キングの愛称の通りコートで圧倒的な支配力のある選手です。

※【補足】ちなみにジョーダンはファイナルに進出した6回全てのシリーズに勝利している(優勝も6回)、のに対し、レブロンは3回/7回の優勝でありこれも十分偉業なのですが、やはり比較するとジョーダンの勝負強さはずば抜けています。 

 

■ うまい、速い、強い。ジョーダン系譜の完成形。

レブロンは細かく分類すればジョーダンとは少し違うタイプのプレイヤーではあるのですが、プレイスタイルの系譜という意味においては完全にジョーダンの系譜です。ジョーダンに憧れて背番号は同じ23。シューズの契約はナイキという点も同じです。

そしてその系譜の中で、(少し前に引退したコービーブライアントという選手と並び)究極に完成されたプレイヤーです。ジョーダン以上にオールラウンダーでうまい、速い、そして強い。弱点はほぼありません。レブロンがいまNBAのどのチームにいっても、レブロンが移籍したチームが超強豪チームになると断言できる、そのくらいの選手です。 

 

■誰も止められないオールラウンダー

レブロンはオフェンスもディフェンスも超一流、力強いフィジカルを持ちながら小さい選手に負けないスキルとテクニックを有し、バスケットの5つのポジション全てをこなせるといわれています。そして高校卒業後そのままNBAに入りすぐに活躍を始めたということもあり、NBAの数々の最年少記録を塗り替え、このままいけば通算記録の多くも塗り替えるであろうといわれています。記録の上ではマイケル・ジョーダンを超えてしまうかもしれません。

※【補足】ちなみにマイケル・ジョーダンも屈指のオールラウンダーで、かつて得点王とMVPと年間最優秀ディフェンス選手のトリプル受賞という前人未到の偉業を成し遂げたことがあります(1988)。

 

■ 近年のNBAに生まれてきた新しいトレンド

しかし彼を中心にまわっているNBAに最近、新しいトレンドを引っさげて強力な対抗勢力が生まれています。その先頭に立つのがステフィン・カリーという選手。彼のことを語る前に、まず少し新しいトレンドの話をさせてください。

 

■ 全ては確率の高いシュートのために

バスケットボールは1試合の点数が100点を越えることも珍しくありません。例えば1試合で100回のシュートを打ち、そのうち半分が得点になって1回の平均得点が2.5点であった場合総得点は125点になる、という具合です。

彼らは常にその状況の中で最も確率の高いシュートを打とうとします。戦術やフォーメーション、選手の動きもパスも全てより高い確率でシュートを打つためのものです。言われてみれば当然の話かもしれませんが、これは意外と忘れがち、でもとても重要なポイントです。全てのプレーは高い確率で決まるシュートを打つためにやっているということを改めて認識しながら観戦すると、また面白いものになると思います。極めて高い確率のシュートだからみんなダンクをするのです。

そして確率以外にもう1つ大事なのが、1回の得点です。フリースローを除く通常の攻撃で得られる得点は2点と3点の2種類があるので、同じ確率であれば間違いなく3点を狙うべきですし、80%の確率で2点をとれるのと40%の確率で3点をとれるのを比較するのであれば、前者を選択すべきということになります。

 

■3P新時代の到来

そんな中で今のNBAでは3Pの価値が大幅に見直されています。以前は3Pは難しいシュートとされ、一部の選手と専門家のような選手の専売特許でした。効率を考えると難しい3Pを狙うよりはより確率の高い2Pのシュートの方が優先されていたのです。

しかし、今ではどのポジションの選手でも3Pを打つようになり、3Pを打てないことが弱点になりつつある時代になっています。漫画スラムダンクでいえば、ゴリもリョータも桜木も高い確率で3Pを打つことが求められている時代なのです。

これは選手の技術の向上もさることながら、より詳細なデータを測定・解析できるようになり高い効率を求めた必然の結果です。そんな3P新時代の申し子がステフィン・カリーなのです。

※【補足】全体の3Pの成功率は実は以前とあまり変わっていません(約35%)。シュートを打つ人数と本数が圧倒的に増えたのです。

 

つづく・・・

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